3.調査結果と考察

 (1) 堆積汚泥状況と処理水槽流出水BOD
 
 堆積汚泥状況の調査は、複数回逆洗タイマー設置後の汚泥の堆積状況からその効果を確認するため、複数回逆洗タイマー設置直前の第1回から設定後8回の計9回行い(図―1図―2図―3図―4)、嫌気ろ床槽第1室(以下「第1室」という。)、嫌気ろ床槽第2室(以下「第2室」という。)及び処理水槽底部の堆積汚泥厚や水質状況を測定した。

@ A施設
 
 A施設の複数回逆洗タイマー設置直前の第1回調査から清掃実施前までの第3回の調査(3ヶ月間)では、第1室の堆積汚泥は増加し、第2室における堆積汚泥は減少した。
 また、清掃実施後の第1室は堆積汚泥が増加するが、第2室の堆積汚泥は少量であった。
 なお、この施設の処理水槽流出水BODが改善しないため、その原因を剥離したSSの性状から容存酸素量(DO)不足と考え、第6回の調査前に吐出量が80g/分から105g/分の送風機に交換した。
 その後に定期清掃を実施した結果、2ヶ月後に第1室にスカムが発生し、処理水槽流出水BODが著しく改善し、その後安定している。

図―1 堆積汚泥とBODの推移【A施設】



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A B施設
 
 B施設は当初改善傾向が確認できなかった。
 原因としては服薬の影響などが考えられた。ただし、堆積汚泥については当初第2室に多く堆積する傾向であったが、清掃後からの複数回逆洗により、第1室に多く堆積し、第2室は少ない傾向が見られ、それと同時に第1室にスカムが発生した。
 また第6回以降の調査において、水温が20℃を上回ると処理水槽流出水BODが改善されてきた。

図―2 堆積汚泥とBODの推移【B施設】



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B C施設
 
 C施設の第1回調査は使用開始から13ヶ月目であったが、複数回逆洗の調査のため、清掃時期を遅らせ調査を行った。
 その結果、清掃実施前までの第5回の調査(7ヶ月間)では、第2室の堆積汚泥量に大きな変化は無かった。
 なお、第6回の調査直前に管洗浄業者が大量の洗浄水を流すというトラブルがあったため、第2室及び処理水槽の堆積汚泥厚が調査期間中で最大値となった。
 また、処理水槽流出水BODは水温が16℃以下の冬期間は高い数値で推移し、20℃を超えた清掃直前に改善されてきた。

図―3 堆積汚泥とBODの推移【C施設】



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C D施設
 
 D施設は第1回の調査後に清掃が実施された。
 嫌気ろ床槽の堆積汚泥の増加は少なく、スカムが発生した。処理水槽流出水BODはC施設と同様に冬期間が高く推移し、処理水槽底部の堆積汚泥厚は約15pとほぼ一定であった。

図―4 堆積汚泥とBODの推移【D施設】



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D 複数回設定と堆積汚泥の状況
 
 複数回逆洗タイマー設置後の第1室の堆積汚泥は増加傾向を示し、第2室は減少又は微増を示したことや、スカムの発生していなかった施設でスカムが発生したことから、複数回逆洗タイマーの設定は効果があると考えられた。
 しかし、D施設は処理水槽流出水BOD値の効果は低かった。
 また、処理水槽底部の堆積汚泥は、複数回設定前とほとんど変化がなかった。このことから、処理水槽にスカムが発生する場合は、管理士による移送が必要と考えられた。


E 施工と堆積汚泥の状況
 
 D施設の処理水槽流出水BOD値の効果が低かったことは、流入管渠が短く、さらに建物と浄化槽の落差(勾配)が大きく、排水が浄化槽に勢いよく流入し、第1室が撹拌され堆積汚泥が流出しやすい設置状況のためと考えられた。


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